ちょっと画像がよろしくないけど
黒毛和牛テールのコラーゲンココット仕立て。
流行りものには福がある。
というわけでつくったわけではまるでない。
わけでもない。。(てへ)
ライトにヘルシーに仕立ててあるが、
元をただせば列記とした古典ローマ料理。
Coda di bue alla vaccinara.
コーダ ディ ブーェ アッラ ヴァッチナーラ。
イタリアンに携わった人間なら必ずや知っているであろう一皿だ。
特徴はシナモンや松の実、レーズンといった甘い香りと
セロリと白ワインの風味の比較的さっぱりとした料理構成。
こってりしたテールが食べやすく変身する。
先日来店した某フードライターからの依頼で、
イタリアンでコラーゲンを!と。
悩む時間もないほど急な依頼だったので
早速和牛テールを仕入れて仕込み開始。
和牛テールにぎっしり纏わりついてる脂を程よく取り除き、
軽く下茹で臭みを抜き、取り上げて水気を拭き取ってから
塩胡椒でコンディメント。
熱したフライパンで表面をサクッと焼きあげたら、
その残った脂のあるとこでセロリや玉ねぎ、ニンジン、レーズンをしんなりするまで炒める。
元来イタリアンではソフリットと呼ばれる香味野菜のキャラメル色に炒めた物を
使用するんだけど、今の風潮ではちと重い印象になる。
だもんでうちではしんなりするくらいに芯の残った状態くらいにしておく。
古典を分解したのちの構築による現代化ってやつだ。
で、深鍋に移して白ワインとトマトホールで煮込む。。
って、おいちょっと待てよ。(キムタク風にね)
せっかくコラーゲンで依頼うけたのになんか芸がない。
贅沢にたっぷりコラーゲン取れる一皿に仕上げたくなった。
よし!それならと思って取り出したのが冷凍ストックしておいたコンソメスープストック。
コンソメには良質なコラーゲンがたっぷり詰まってるんだ。
で、コンソメだとがぜん赤ワインの方がこの時期相性が良い。
そしてシナモンよりも八角(アニス)だ。
贅沢に赤ワインとコンソメを使用して煮込むことおよそ4時間。
この間決して蓋はしない方がいい。
内臓系の煮込みは蓋をすると香りではなく臭いが充満してしまうから。
そして煮込みすぎても良くない。
身がばっさばさになり、味も抜ける。
なんせ黒毛のテールだ。
形もそのまんまが格好良い。
仕上がりのスープの味わいは想像以上の相乗効果があった。
さっぱりしていながら浅い味わいではなく深く深い旨みのコンチェルト。
ガーシュインではなくドビュッシーか。
この味なら野菜をたくさん添えても味覚の構成が崩れることはないと思い、
どっぷりと野菜を添えて提供してみた。
撮影を終えたクルーが撮影後に試食。
一言も口を発さない沈黙のあと、会心で満面の笑みがその顔に広がっていた。
ただ一言『すごかったです』と。
良いもんだ、自慢の料理ができるってのは。
雑誌名はBRIOかGINZAで来月発売だったと思う。。
両雑誌ともに立て続けな取材だったもんでどちらがどちらか忘れてしまった。。
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